根拠のない自信だけで生きてきた

ふざけた事を真面目に考察するネタブログです

拝啓。「注射が好き」と言っていた松沢君。お元気ですか。

小学生の頃、友人の松沢君は予防接種の度にみんなが怖がる中、

 

「俺注射好きなんだよね。」

 

と言っていた。おそらく貴方の周りにもこういう人はいたんではないだろうか。なんなんでしょうかね、アレ。もしかしたら松沢君はガチホモで、AVでよく言うぶっといお注射の話をしていたのかもしれないが、それを語り出すと色々今までの思い出が汚れてくるのでここでは普通の予防接種の話とさせてもらう。

 

 

あの頃は松沢君すげー!と思い、こんなに嫌な痛みが好きな人もいるもんなんだな。と思い、僕も「べ…別に注射怖くないし!」とビビり丸出しで言った。

 

大人になってわかったが、松沢君のアレは強がりだったんだな。と20年ほど前のことようやく気づいた。

 

小学生なんてのはベクトルの間違ったカッコつけで生きているようなもので、僕もちょっとした擦り傷で大げさに包帯を巻き、黒龍を左腕に住まわせている演出はしたものだが、幾ら何でも注射が好きと言うのはインパクトが強すぎてずるいだろう。

 

人間の言葉というのは文字通りの意味と違う意味を持つ場合が多い。

 

「その日予定あります」は「行きたくありません」という意味だし

「今充電切れてて…」は「あなたとLINE交換はしたくありません」という意味だ。

今まで何度も間違えました。でもワンチャンあると思って今後も充電器を貸した上で連絡先交換しますのでどうぞよろしくお願いします。

 

あの日の「俺注射好きなんだよね。」の本来の意味は、「注射怖がってるお前らと俺は違うぞ」という意味だ。

 

松沢君が喧嘩している姿は見たことがないが、その一件があってから周りからの評価はあいつはヤバイということに変わり、漫画でよくいる殴られれば殴られるほど気持ち良くなってくるタイプのような扱いになっていた。

 

アレは松沢君が望んだものだったのだろうか。

 

心理学的には人間は人に見られたい自分を演じる性質があるらしい。

松沢君はきっと単純に【強い男】という肩書を手に入れるために注射が痛くない自分を演じていたんだろう。だが現実はそううまくはいかず、ドM体質の変態に変わってしまっていた。

 

 

余談だが僕は30になる今でも注射が怖い。だが、健康診断の注射は好きだ。なぜなら健康診断を専門にやっているところは、結構若いお姉さんがスタッフで働いており、綺麗なお姉さんに注射をされることがよくあるのだ。

 

そして僕は注射をされる時に、はっきりと自信を持って「僕注射怖いんですよね!」とお姉さんに伝えることにしている。

 

するとどうだろう。お姉さんは途端に子供を見るような目で僕に接してくれる。

「痛くないですからね〜」「すぐ終わりますからね〜」

と母性丸出し、もはやお母さんさながらに優しくしてくれるのだ。これがたまらない。

 

時には

「もうちょっとだけ我慢してね!すぐ痛くなくなっちゃうから!もうちょっとだけ頑張ってね〜」

と敬語すらやめて僕を励ましてくれるのだ。

 

30歳の男だ。厳しい現実に追われ、仕事に追われ、毎日何かに責められながら生きている30歳の男を、日常で僕を甘やかしてくれる人などいないのだ。

そんな中、健康診断のお姉さんだけは、僕を小学生のように甘やかしてくれる。それはもはや赤ちゃんプレイのようなもの。僕は健康診断という大義名分のもとに、会社のお金で赤ちゃんプレイを楽しんでいるのだ。これなんの話だ?

 

「注射が好き」と言っていた松沢君だが、2年程前にシャブ中で捕まった。噂だが家には注射器などが散乱していたらしい。

 

あれ…?強がりじゃなかったんだ…。